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第十七話 フラッシュバック

last update Date de publication: 2025-11-14 08:00:44

真実を知っているのは当事者と目撃者だけ。その事実が表面化される事はなかった。その事実を知っている麻美は、今まで霞んで見えた過去の記憶を呼び覚ましていく。捨てたはずの情報達は、彼女の精神を喰らい続け、真実を告げていった。

「あ…あ……」

話を続けようとした終夜は麻美の異変に気付く。彼女の瞳は遠くを見て、何かに怯えているようだった。その姿は大人の女性と言うよりも、少女に近い。シンヤの事を全て把握している訳ではないが、彼の協力者として立ち回りながら、情報を集めていた。その一端を彼女に伝えたのだ。

「やめて、やめ……て」

「麻美? 麻美!」

目の前にいるのは終夜だ。それなのに彼女は化け物を見るような瞳で彼を拒絶している。一体何が起こっているのか理解出来ない。その中でも一つだけヒントが隠れていた。この話に反応すると言う事は、麻美はその現場を見ていたのではないかと推測する。そうすると納得出来る、これはーー
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    真実を知っているのは当事者と目撃者だけ。その事実が表面化される事はなかった。その事実を知っている麻美は、今まで霞んで見えた過去の記憶を呼び覚ましていく。捨てたはずの情報達は、彼女の精神を喰らい続け、真実を告げていった。 「あ…あ……」 話を続けようとした終夜は麻美の異変に気付く。彼女の瞳は遠くを見て、何かに怯えているようだった。その姿は大人の女性と言うよりも、少女に近い。シンヤの事を全て把握している訳ではないが、彼の協力者として立ち回りながら、情報を集めていた。その一端を彼女に伝えたのだ。 「やめて、やめ……て」 「麻美? 麻美!」 目の前にいるのは終夜だ。それなのに彼女は化け物を見るような瞳で彼を拒絶している。一体何が起こっているのか理解出来ない。その中でも一つだけヒントが隠れていた。この話に反応すると言う事は、麻美はその現場を見ていたのではないかと推測する。そうすると納得出来る、これはーーフラッシュバックだ。 ブツブツと何かを唱えるように呟き続ける。単語で作られている言葉達は、ある人物の特徴を指していた。ピンと来た終夜は彼女を現実に引き戻す為に、抱きしめていく。引っかかれても、暴れられても、そんな事は大した事じゃない。 それだけ彼女は苦しんでいるのだから。その十字架を半分でもいい、背負いたかった。 麻美は光に対しての事に関する記憶が欠乏している。亡くなった事実も何もかも知らない彼女は、自分の母は入院しているだけだと信じていた。 光と聖が楽しそうに話している姿を隠れながら見つめていた少女は、自分の誕生日の為に二人がサプライズをしようとしていた事実を知った。晴明は仕事で忙しく時間が取れない、そんな時叔父の聖が晴明の代わりに光とプレゼントを選びに行く事になった。 二人に気づかれないように友達の家に行くと嘘をついて、二人が出てくるのを確認すると、まるで探偵になったかのように尾行を開

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    抑えきれない感情をぶつけるように麻美の手を力強く引いていく。こんな終夜の姿を始めた見た彼女は、何か怒らせてしまったのだろうかと不安になりながらも、聞く事が出来なかった。今の彼にどんな言葉を伝えても受け止めてくれない。 歩くペースがどんどん上がっていく。ついていくのに必死な彼女の呼吸が少しずつ加速していった。強引な態度に限界を感じてしまった麻美は、彼の手を落ち着かせるように触っていく。指先が触れ合うと、ハッと我に返った彼は、自分が怒りに支配されていた事実を知った。 「……どうしたの? 私、何か悪い事した?」 「いいや」 「じゃあ、どうして怒ってるの?」 何が起こっているのか把握出来ていない終夜は、どんな説明を彼女にすればいいのか分からない。こういう時こそ、冷静さが必要なはずなのに、あの時の光景が瞳に焼き付いて離れてはくれなかった。見たくない現実から逃れるように、自分の怒りを止めるように目をギュッと瞑っていく。 「あの人は君の叔父さんじゃない」 「え」 「君には叔父さんはいない、亡くなっているんだ」 「そうなの?」 この事は晴明から口止めをされていた。嘘で埋め尽くされたシンヤの事を言うのは彼女にとって傷つく事になるだろう。それでも言わなきゃいけない。決して口に出す事はないと思っていた物事を彼女に伝えていく。ポツリポツリと語りだした終夜の瞳からはじんわりと涙の姿が現れた。 全ては光の存在が彼を狂わしてしまったきっかけになった事から始まる。新婚だった光と晴明は小さな会社を起こし、ゆっくりゆっくり自分達の理想を形にしようと夢を現実化しようと頑張っていた。 妊娠が発覚して、これから幸せな日々が待っている二人の姿は過去の幻影そのもの。晴明は光を支えながら、リビングへ向かった。 「晴明さん、私なら大丈夫よ。一人で歩

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    視線を感じた公義は確認するように後ろを向いた。誰かが自分達を見ていた感覚があったはずなのに、煙に巻かれたように消えていく。その人物は公義の姿を確認すると、邪魔な存在を弾くように舌打ちをする。 「どうしました?」 「なんでもないですよ」 顔つきを変えていた公義に問いかけると、スッと柔らかい表情に戻して、安心させるように言葉を紡いでいく。ある程度の挨拶周りを終えると、二人は奥の部屋へと姿を消し、参列者から逃げるように消えていった。 「郷東がいますね、どうしますか? 蘇枋先生」 「様子を見ようか。接触する機会はあるはずだ」 「分かりました」 「何かあれば私に連絡してくれ」 「はい。失礼します」 葬式に呼ばれていたのは公義だけではなかった。まさか公義を動かすとは、晴明の予想外の行動に整えていた表情が崩れそうになっていく。周囲には自分を見ている人達がいる事を思い出したシンヤは、にっこりと気持ち悪いくらいの笑顔を撒き散らしていった。 忘れ形見の麻美の姿を見れただけでも収獲があったと言える。彼は光の事を思い出しながら、風が攫っていく。 麻美の母、光との出会いは同窓会だった。名前は知っていたが一度も話した事はない。関わる事のない人だと思いながら、バーテンダーの元へと向かっていく。グラスには少し残っている酒が揺れて、シャンデリアの光が波間に反射し、輝いている。酔いも回っていたシンヤは、気楽に構えている。いつもの彼なら些細な事にも気を使いながら、身をこなしていくのに、その時だけは違った。 「キャッ」 「あ」 前を見て歩けてい

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